前回、前々回と
本質を考える
一を聞いて十を考える
を説明してきました。
今回は、締めくくりのその3として「2つ先の仕事を終らせる」です。
これも考える力の一つです。「本質を考える」「一を聞いて十を考える」は、情報を得る手段であったわけですが、次に得られた情報を駆使して、頭の中で2つ先の仕事をやってみるシミュレーションが「2つ先の仕事を終らせる」です。
スポーツとかのイメージトレーニングといっしょです。
違いは複数の題材を一挙にシミュレーションするところです。
頭のなかで想像する
「2つ先の仕事を終らせる」は、脳内シミュレーションを仕事に直結させる大変お得な技です。
実践されている方も多いのではないでしょうか。
それくらい一般化している思考パターンだと思いますが、「本質を考える」「一を聞いて十を考える」を行ってからこれをやると劇的な効果を得られます。
実際の仕事に利用しますと、すでに頭の中で仕事が終わってますからイレギュラーも少なくスムーズに事が運びます。
あまりのスムーズさに段取り上手と褒められること間違いなしです。
もし、あなたが仕事を指示される側なら指示側の脳内もシミュレーションして指示内容考えて行動しますからある意味指示はいりません。
それくらいの速度出せます。
指示する側ならされた側になってシミュレーションしますから、的確な指示出しができます。
リスク低減、危機回避などの効能もあります。
脳内シミュレーションは予測や警報であり、起こりえる可能性の提言です。
未来を考える力のことで「2つ先の仕事を終らせる」は、一例であり脳内シミュレーションの入門編に過ぎません。
それでも、これを意識した人とそうでない人で大きな差が生まれた事例をいくつも見てきました。
人にとって「先を考える」ことが如何に大事か問われる場面をいくつも見てきました。
イレギュラーが発生する管理のような仕事は、ルーチンワークとは異なる思考が必要です。
その考え方が能動的なイメージトレーニング的思考です。
日々の仕事を通じて、「2つ先の仕事を、頭の中で、終らせる」を実践してみませんか。やってみると案外簡単ですよ。
トラブルへの活用例(私の体験)
具体例を紹介します。
会議がある日は「2つ先の仕事を終らせる」をよくやります。
議題や参加者の情報から脳内会議を緻密に実施します。
会議後、その内容がどの部署へどのように影響するかまで脳内で作業します。
その後の展開はほぼ脳内作業の通りです。
ほとんどの会議は始まる前に終わるような会議ばかりです。
多くの人は意識しないで脳内作業されているのだと思います。
だから、会議を無駄に感じる人が多いのではないしょうか。
誰がどんなことを決めたか、物事を正式化するための手続きなのでしょう。
生産管理を担当していた頃の体験です。
その日午後から明日の予定表を組んでいたのですが、いきなり生産から納期遅れの可能性報告、クレーム発生! 対処してくれの連絡、外注から加工がうまくいかないの相談、ホウレンソウが機能していると混迷を深める時もあるのね、どんすんのこれ?
1時間ほどで解決しないと手遅れになるわ。
ということで、予定表を作成しながら、一つ一つの情報を収集しました。
マルチタスク得意です。
マルチタスクは同時作業のように見えますが、個々の作業への時間割振りです。
ただし、割振り時間がすごく短いので同時進行に見えるだけです。
外段取り、内段取りも活用します。
続いて案件を脳内で終わらせて行きます。
その結果、生産工程の遅延解決は2つのシナリオ、クレーム解決はシナリオ3つ、外注からの相談は、型の再作成の一択、納品遅延決定でお客様への説明のため営業と打ち合わせ、これはクレーム確定です。
それぞれの案件について、脳内で作業した手順を分解して再構成して最良の結果を生むと思われる作業を組み立てました。
これで3つの案件は脳内で作業が終了しました。
その時、必ず最悪を想定するのもお約束です。
次に脳内作業を実際の作業に繁栄しました。
当然イレギュラーは発生しますが、そのほかの作業が順調なのでイレギュラーに集中できました。
たとえ脳内であっても一度やった作業ですから、前に経験したことになります。
生産の納期遅れは機械故障でした。
修理業者の到着が遅れたのはイレギュラーです。
明日の予定表も作り変える可能性が出てきたので、精神的に追い込まれましたが何とかなりました。
謝罪の出張準備でクレームの顛末書は、頭の中で書いたのでスムーズにキーボードを打てました。
まとめ
「2つ先の仕事を終らせる」は、一日一回でも二日に一回でも構いません。
たまにで構わないので意識することが大事です。
ほとんどの人は何となく行っているので、思考パターンとして定着するのに時間が掛かります。
「意識する」ことで思考回路は短期間で形成されます。
もう一歩踏み込むと「先を考える力」のベースは「想像力」です。
この想像する力を強化するのも「意識する」が大切です。
いつもじゃなくて構いません。
思いついた時でいいんです。
そういう意味では思考回路という方が適切かもしれません。
余談
かなり横道に外れますが大企業が傾いたり、身売りをするのは、役員と言われる人たちの「先を考える力」の無さではないかと私は思います。
このような事態に陥るのは、この人たちが悪いのは当然ですが、実は資本主義というか、社会システムの欠点ではないか考えています。
政治の世界でも、良くないイベントが次々実行されていくのを見ると、法律に大きな欠点があることがわかります。
権力者が法律を自分たちのために変えられる、まずいですよね。
銀河英雄伝説を書かれた田中芳樹さんのインタビューを見たことがあるのですが、その中で「民主主義自体が個人レベルではいかにしんどくて面倒」というものがありました。
これを聞いて思いました。
考えるということは、ものすごく大変なことだと。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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