新しいモノを必要とする場合があります。メンテ費用や運用経費が利益を食い潰してしまう、メンテできないくらい古くなった、生産速度が市場と合わない。プライベートなら、家電とかが壊れた、趣味のゲームで新しい機種が出たなどなど、買い替えや追加購入もあるでしょう。元購買責任者の私としては、良いモノを安く買わなくてはいけないという強迫観念にも似た意識がありまして、モノを買うと言うことに妙なこだわりがあります。今回は、このこだわりというやつを整理してみましょう。
ちなみにファッションやアクセサリー、コスメなどのジャンルは対象外です。興味が薄いんです。こだわるのは色くらいしかありません。私の弱点です。
何に使う?
何のためにほしいのか、ここを初心に戻って考えてみましょう。単なる買い替えなのか、既存設備増強のため追加購入、この作業を楽にしたいから新しいモノを買うのか、動機は大体この3つですよね。
買い替えの場合、今持っているモノとほぼ同じ使い道ですから、持っていないモノを買うよりそれほど悩まないのですが、前の機種から時間が経ってますから、機能が追加されていたり、無くなったりとかします。私の家で使っていたエコキュートは、お風呂とキッチンで別々の温度を設定できました。同時利用できなったのですが、これは便利でした。同じメーカーの後継機を買ったのですが、この機能が無くがっかりでした。車でも買った後に気づいたのですが可変間欠ワイパーじゃなくてがっかりでした。まあ、基本の機能は同じですから我慢しているのですが、後継機だからと言って全てが進化するわけじゃないんです。価格維持のため、改悪されることもあるので、単なる買い替えでも機能は徹底して調べましょう。
包丁とかシンプル機能のモノでは、オーバースペックを求めてしまうことがあります。欲が出てくるんです。自分の腕が上がっているから、モノのレベルも上げなきゃと思うわけです。正解なのですが、腕以上の仕様を求めてしまうことがほとんどです。お金があるなら、欲望のまま購入するのはありです。そうでなければ、一旦止まれです。冷静になりましょう。誰か、タングステンカーバイドの包丁を買おうとしている私を止めてください。
追加の場合、前回購入からそれほど時間が経っているわけではないので、性能に大きな差はないかもしれません。その時に考慮すべきは周辺機器です。例えば、金属やプラスチック加工機ですとロボットアームやストッカー、コンベアなど自動化設備の進化が著しく、数年前に比べ性能も価格も大きく異なる場合があります。追加の場合、効率化がキーワードになると思います。
新しいモノでQOLや効率向上という買い物は、改善効果にワクワクします。スティッククリーナーは、以前から探していたんですが、私の求める価値と価格がバランスしてないことが多く二の足を踏んでいました。最近買ったお値段以上のスティッククリーナーは、軽くて吸引力も高く簡単な床掃除に大活躍です。フローリングワイパーだとカーペットできなかったので、このクリーナーのおかげでQOL少し上がりました。少しというのは、メンテ大変だからです。
新しいモノを買うときは、QOL、効率化や省力化と言った目標となるキーワードを設定すると決定速度が上がります。
どんなモノがほしいのか明確になったところで、具体的に欲しい製品をピックアップしましょう。カタログ集めついでに実機を見に工場やショールーム、売り場へ行きましょう。
製品の諸元を理解する
いろいろなメーカーのカタログを集めたら、比較の前にひとつやることがあります。モノには、性質や性能を表す「諸元or仕様」があります。設計時は仕様、諸元は完成後に使用する言葉です。仕様通り完成なら、仕様=諸元です。英語ではSpecifications、specです。ここでは、耳慣れしていませんが「諸元」を使います。私が使う諸元は、3つあります。
①カタログ諸元
カタログ諸元は、カタログの後ろに載っているような、寸法、重量、性能、方式、動作原理、材質、電力消費量などのデータです。製品を深く理解するにはちょうど良い情報です。
モノを買うとき、諸元を理解して購買の判断材料にしてください。諸元を理解できるようになると、自分がほんとに欲しい製品がわかってきます。そして、他機種と正確に比較することができるようになります。逆に諸元を理解しないまま、評判とかデザインで選ぶとがっかりするすることが増えます。デザインが優先されるモノは、何らかの機能が犠牲になることが多く、許せる範囲なら良いのですが、そうでなければがっかり購買です。私は車をアクアに替えたのですが、後部視界を犠牲にしたデザインが好きではありませんでした。ギリギリ許せる範囲なので購入しました。安全性よりデザイン優先って感じでウームですが、購買を決めたのは燃費とか加速などの性能面です。
諸元から入る私は、諸元に書かれている動作原理とか方式とかで意味がわからないものは、その原理から調べます。例えば除湿器には、主にコンプレッサー方式とデシカント方式があります。この2つの方式を両方搭載したハイブリット式というのもあります。最近では、CPUの冷却に使われていたペルチェ素子が、ペルチェ方式となって除湿器に使われています。諸元を理解して、それぞれのメリットデメリット、欲しい能力を把握して買います。うちの除湿器は、ハイブリットタイプです。
②メーカーの諸元?!
2つ目は、作り手の諸元です。私の造語で一般的な言葉ではありません。考え方や実績がこれに当たります。例えば、設計思想、製造方針、得意分野、故障率などです。昔、車を買うとき設計思想とか故障率を意識せず買って大失敗しました。日産はそれから選定外です。今の車でも有料3年保障オプションをどうするか判断するとき、メーカーの故障率を調べました。ミシンを買うとき、メーカーの歴史と得意分野を調べました。ミシンメーカーって、どこの会社もしっかりしたものづくりしてます。すごい業界だと思いました。
モノが高ければ高いほど、重要な判断材料になります。数万円以上の買い物なら必ずメーカーのことも調べてください。数百万、数千万であればメーカーから先に選定することもあるほどです。
③視覚的聴覚的認識諸元
3つ目は、視覚的聴覚的認識諸元。まあ、これも私の造語で一般的な言葉ではありません。大そうな言葉ですが、見ないとわからない、買った人の思いとかの情報です。諸元って言わないと思いますが、見聞きした情報データということで、かっこつけてみました。
視覚的認識の諸元ですが、車の収納ポケット。諸元表見ても数しか書いてなくて、形や場所の情報はありません。サイクロン式掃除機のダストボックスの掃除の煩わしさなんて、説明書見てもわかりません。売り場の実機を見て初めてわかります。工場の加工機械なんて、こんなんばっかりですよ。買ってみて不便さを感じるなんてざらです。オリジナルの新規加工機械の場合、世の中にないんです。なので、完成してからわかることが多く、その後の改造や改良が大変です。何度か痛い目をみました。この点は後ほど補足します。
聴覚的認識の諸元というのは、口コミ、評価点数、買った会社の愚痴、世間のうわさです。口コミ、評価点数は、通販サイトや価格比較サイトに掲載されています。買った会社の愚痴というのは、同業者の評判です。伝わってくるものです。同業は敵ですが、仲間でもありますから、既存機械の情報交換は頻繁にしていました。
事例にまいりましょう。グーグルマップで、3.5以下の飲食店は大体ハズレです。投稿件数が少ないと4.0以上でも怪しい時があります。価格比較サイトの情報確度は、8割程度で参考になります。加工機械の更新の時、親しくしていた同業の方に導入後の調子を聞いてみました。もう愚痴だらけ。別メーカーの再検討しました。 視覚的聴覚的認識諸元は、購入失敗の確率を多少は減らしてくれます。ただし、ガセも多いので注意が必要です。鵜呑みにしてはいけません。この手の情報の識別と取捨選択能力は、情報社会に生きている私たちには、必須になりつつあります。営業の意見で役に立つのは3割くらいでしょうか。売る側と買う側の意識の違いがこの割合です。
決定の決め手
3つの諸元を把握したら、各メーカーの機種を比較しましょう。できるだけ表組みしてください。比較表を作ってる途中で大体機種が決定してしまいます。というか、諸元を調べる過程で機種選定を無意識にしてますから、正しい選択ができたか、諸元比較表で確認するだけです。 選択できたからと言って、購入契約したわけではありません。契約が大変なんです。通販サイトで最後に決定ボタンをポチっとする作業は、異性への告白より勇気がいりのは私だけ?工場ですと購買契約書にサインするとき手が震えます。その時後押ししてくれるのは、だいたい第三者の無責任な意見ですが、後押しとしては貴重な意見です。頭の中では既に決定作業は終わってるんですよ。最後のポチっなんていきおいだけです。それまでの過程がしっかりしていればしているほど、最後は迷いも大きくなります。迷いに迷ったサインは、失敗することがほぼありませんから心配しないでください。
まとめ
今回は、設備や家電を中心にしたモノを選ぶということで選択の手順とコツを提案させてもらいました。プライベートのモノでも会社のモノでも、良いモノを選定する過程は一緒だと思います。少し違うとしたら、工場の場合は費用対効果を徹底的に調べるところでしょうか。プライベートと工場では、利益の形が違うからです。プライベートはQOLですからね。
買い物という行為を大切にすると良いこと多いです。人生においてモノを購入するというのはイベントだからです。価格が高くなればなるほど、大イベントになります。家の購入は超特大イベントです。その諸元調査は徹底的にやるべきです。それでも満足いくかどうか不確定なことだらけです。
視覚的聴覚的認識諸元のところで補足しますというのがありました。上記の不確定な部分というのがそれに当たります。家を買うときやオリジナルの新規加工機械購入の場合、不確定要素が多く後悔することが少なくありません。この後悔を減らすためには、「導入後のイメージを可能な限りシミュレーションする」です。例えば、家や工場建設の場合、設計図を頭で3D化して家具を配置して、歩き回ってください、生活してみてください。新しい機械の場合も一緒です。仕様や設計図を3D化して実際に操業してみてください。朝昼夜、春夏秋冬を経験してみてください。これは、テーマ1そのものです。このシミュレーション回数と後悔は反比例します。 慎重さが足りなくなる買い物としては、保険でしょうか。安心を買うにしても不要なものが多いのが実情です。また、購買価格については、価値観とかも大きく関わってきますので深いテーマです。
これらは、次で解説したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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